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女性学講座(3)ー2

それではホルモンのバランスの崩れによって起こる不正出血である"機能性出血" についてお話しすることにしましょう。

機能性子宮出血

  "機能性出血"とは妊娠・腫瘍・炎症・外傷などの原因による出血を除外した、ホルモン分泌異常に 由来する子宮出血のことをいいます。
この出血には2種類があります。排卵を伴うものと、 無排卵性のものです。
正常月経は卵胞ホルモンと黄体ホルモンの両方の分泌が減少することにより 起こります。これをホルモンの“消退出血”といいます。無排卵性の場合、黄体ホルモンの分泌が 起こらずに卵胞ホルモンのみの減少により“消退出血”が起きる事があります。 この出血は前回の月経から数えて2〜3週間目に起きたり、2〜3ヶ月が経ってから起きたりと 様々ですが、正常の月経と違ってやや長引くことがあります。卵胞ホルモンが減少せずに持続的に 分泌されると、子宮内膜が異常に厚くなりついには栄養が回らなくなって出血を来たします。 これを“破綻出血”とよび、多量に出血することがあります。出血が長引いた場合などはホルモン治療が 必要となりますが、なかには貧血になるほどの大量出血を来たすことがあり、 緊急に子宮内膜掻爬術をしなければ止血しないこともあります。
排卵性の不正出血で多いのは、 排卵前に卵胞ホルモンが減少した時に子宮内膜が月経時のホルモンの減少と勘違いして少量の出血を 起こしてしまうもので、いわゆる“中間出血”と呼ばれるものです。多くの患者さんがこの出血を 主訴として来院されますが、たいがいはその後に続くホルモンの再上昇により止血するため治療を 必要としません。また、だらだらと少量の出血が続いた後本格的に月経が始まる方もいらっしゃいます。 これは排卵後の黄体ホルモンが早く減少してしまうために起こります。逆に、月経の後少量の出血が 続く場合もあります。これは黄体ホルモンが月経後も分泌されたために子宮内膜がきちんと剥脱せずに 止血しないものです。やはり治療しないですむことが大半ですが、ホルモン治療を行うこともあります。
これらの機能性出血はここまで話しましたようにホルモンの異常で起きますが、子宮筋腫や子宮癌 (頸癌と体癌)などの器質的な疾患が隠れていることがありますから、不正出血が見られた場合には きちんと検査をしたほうがいいでしょう。
 
次回からは、"更年期障害"についてお話しすることにします。よろしくお願いします。

引用文献: 青野敏博、臨産婦 45:576 、 1991

レディースクリニック ばんどう
  院長 板東律雄

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